親が認知症になったら、困ること。家族で話すべき3つの対策

親が認知症になると、預金があっても自由に使えなくなったり、不動産が売れなくなる可能性があります。これは特別な家庭の話ではなく、誰にでも起こり得ることです。
事例
70代のお母さんが認知症と診断され、施設に入ることになったとします。月20万円の費用がかかります。預金は2,000万円あります。
でも、銀行からは「ご本人の意思確認ができません」と言われて、お金が引き出せませんでした。
不動産も同じです。認知症になると法律行為ができないため、売却できないケースが多いです。
お金はあるのに、使えない。これが現実です。
今、日本では65歳以上の約5人に1人が認知症と言われています。誰にでも起こり得る話です。
対策は、主に2つ+1あります
① 家族信託
元気なうちに、子どもなどに財産管理を任せる契約です。司法書士に依頼して作成することが多いです。これをやっておけば、認知症になった後でも、信託契約に基づき子どもが預金を引き出したり、不動産を売却することができます。柔軟に動けるのが大きなメリットです。ただし、初期費用は数10万~100万円前後かかることが多いです。個々の家庭の事情によって契約内容も違いますので家族信託に精通した司法書士に依頼してください。契約書文言は、テンプレートなどもありますが決しておすすめしません。
② 任意後見制度
将来、判断能力が落ちたときに備えて、後見人をあらかじめ決めておく制度です。娘さんなどを指定することも可能です。初期費用は10万円~20万円程度と比較的安くすみます。元気なうちは自分(親)で財産管理ができます。ただし、実際に任意後見が始まると家庭裁判所が選任する後見監督人への定期報告が義務付けられています。そのため、家族信託と比べると柔軟性や自由度は低くなります。また後見人や監督人に報酬が発生しますので長期で見ると費用も相応に必要です。
(+1) 生前贈与
元気なうちに、子どもへいくらかでも財産を渡してしまう方法です。シンプルで実行しやすいですが、贈与税が発生する可能性があります。非課税の枠の中で贈与することも有効な手です。これは財産管理の仕組みではないため、あくまで補助的な対策になります。
どれを選べばいいのか
シンプルに言うと、こう整理できます。
- 家族の意向を柔軟に反映させたいなら → 家族信託
- 初期コストを抑えたいなら → 任意後見
- とりあえず一部だけでも資産を移したいなら → 生前贈与
重要なことは、これらはすべて、元気な内にしかできません。
認知症になったり、不慮の事故にあったりして判断能力がなくなれば法律行為は難しくなります。
もし何も対策をしないと、認知症になった場合は、原則として、家族の判断だけで自由に財産を動かすことは難しくなります。
結果、場合によっては「法定後見制度」を利用することもあります。
法定後見制度とは、家庭裁判所が後見人を選び、その人が財産管理を行う仕組みです。
ただし、これはこれで大変です
・後見人は家族が選ばれるとは限りません。
・弁護士や司法書士などの第三者が選ばれることも多く、その場合は毎月の報酬が発生します。
・財産の使い道についても厳しく制限されます。
あくまで「本人の利益を守る」ことが最優先となるため、柔軟な対応は難しくなります。
結局、
・お金はあるのに使いづらい
・不動産売却のハードルが高くなる
・毎月コストがかかる
・家族の思い通りに動かせない
という状態になる可能性があります。
まとめ
今回は財産管理についてのブログだったので遺言には触れていませんが、遺言もセットで考えると良いと思います。
・誰に財産管理を任せたいのか
・将来どんな生活を送りたいのか
・不動産はどうするのか
元気なうちに、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
※具体的な対応は個別事情により異なるため、専門家への相談をおすすめします。

