遺言書について

遺言書作成をオススメします
相続トラブルの多くは、実は「ごく普通の家庭」で起きています。
今日は少し重たいテーマかもしれませんが、とても大切なお話です。
「遺言なんてまだ早い」「うちには大した財産もないし」「家族は仲が良いから大丈夫」——そんな声が聞こえてきそうですが現場はそう簡単ではありません。
仲の良かったご兄弟がバラバラになり、その影響が子供たち、つまりいとこ同士の関係にまで及んでしまう。長期間にわたり精神的負担が続き、そして多額の弁護士費用・・・そんな悲しい光景を何度も目の当たりにしてきました。
遺言書がなぜ必要なのか、そしてどうすれば作成できるのかについてお伝えします。
相続トラブルは「お金持ちの問題」ではない
相続トラブルは、決して富裕層だけの問題ではありません。
むしろ、ごく普通のご家庭で起きています。
最高裁判所の司法統計(令和5年)によると、家庭裁判所で遺産分割の調停が成立したケースのうち、遺産額1,000万円以下が約34%、5,000万円以下が約44%を占めています。つまり、相続トラブルは「資産が多いから起きる」のではなく、「準備がないから起きる」と言えます。
むしろ、本当の富裕層の方々は、しっかりと対策を講じているケースが多いのが実情です。
遺言書は「思いやり」の表現
遺言書を書くことに対して、「不謹慎だ」「縁起でもない」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、私は違うと思います。
遺言書は、残される家族への最後の「思いやり」だと思うのです。
「誰に何を残すか」を明確にしておくことで、残された家族が争わずに済む。スムーズに手続きができる。それは、家族を愛するからこそできる、最後の配慮ではないでしょうか。
自筆証書遺言と法務局保管制度
遺言には「公正証書遺言」と「自筆証書遺言」がありますが、状況によって適した方法は異なりますが、手軽に始める方法として「自筆証書遺言(法務局保管制度)」は非常に有効です。それも、令和2年から始まった「法務局保管制度」を利用する方法です。
手続きはとても簡単です。
遺言を手書きし、必要書類と手数料3,900円を添えて法務局に持参するだけです。あとは法務局が50年間、(そして画像データはなんと150年間)大切に保管してくれます。
公正証書遺言だと、財産額に応じて数万円から十数万円の費用がかかりますが、自筆証書遺言なら印紙代3,900円だけ。しかも、一度保管すれば追加費用は一切かかりません。
さらに、この制度を使えば、従来は必要だった家庭裁判所での「検認」という面倒な手続きが不要になります。遺言書の紛失や改ざんの心配もありません。
特に若い世代こそ考えてほしい
遺言書作成のメリットはいろいろありますが、私が特に強調したいのは「子供がまだ未成年のご家庭」です。
もし遺言がないままご主人が亡くなると、お子様は未成年でも立派な法定相続人です。妻が全ての財産を受け継ぐ場合でも、子供が未成年であれば、家庭裁判所を通じて「特別代理人」を選任する手続きが必要になります(つまり手続きがとてもとてもとても大変となります)。
大切な人を亡くした悲しみの中、こうした煩雑な手続きに追われる——想像してみてください。どれほど大変でしょうか。そんな時、夫が「全財産を妻に相続させる」と遺言を遺しておけば死後事務の負担はかなり軽減されます。
(私自身も遺言を作成しています。資産が多いからではなく、残された家族が手続きで困らないようにするためです。)
※子供がいないご夫婦も遺言書を残すことをお勧めしています。それはまた別の機会に書きます。
明日は誰にも保証されていない
「遺言なんてまだまだ先の話」と思われるかもしれません。でも、明日生きている保証は、誰にもありません。
交通事故、突然の病気——人生には予期せぬ出来事が起こり得ます。そして、相続対策は生前の元気な時にしかできないのです。
私たちは日々、火災保険や生命保険に入って「万が一」に備えています。遺言書も同じです。使わないで済めばそれが一番。でも、もしもの時のために準備しておく——それが、家族を守ることになるのです。
遺言書の書き方は、今の時代ネットをたたけばいろいろでてきます。
不安な方は、ご相談ください。(内容に不備があると、せっかくの遺言が無効になってしまう可能性もあります。)
おわりに
遺言書は、決して「死」を意識した暗いものではありません。
「家族が争わないように」「大切な人に負担をかけないように」——そんな思いやりを形にしたものが、遺言書なのだと私は思います。(私の周りは書いている人は多いですよ)
この記事を読んで、「まずは紙に誰へ何を残したいかを書き出してみよう」と思っていただけたら幸いです。
※この記事を読んで「遺言書きました!」と言われたらすごく喜びます(笑)

